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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

金商法に基づく企業会計の基準について

金商法において企業に対する各種開示規制が定められているが、その主要な開示項目に「経理の状況」がある。具体的には、財務諸表等や連結財務諸表等が該当する。そして、これらの財務諸表等について、以下の様に規定されている。

第百九十三条 この法律の規定により提出される貸借対照表損益計算書その他の財務計算に関する書類は、内閣総理大臣が一般に公正妥当であると認められるところに従つて内閣府令で定める用語、様式及び作成方法により、これを作成しなければならない。

これに対応する内閣府令として、財務諸表等規則や連結財務諸表等規則などがある。そして、財務諸表等規則や連結財務諸表等規則には、「この規則において定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従うものとする。」とある。

 

では、「一般に公正妥当であると認められる企業会計の基準」とは具体的に何なのか?

上記内閣府令には、以下のような規定がある(第1条3項)。

企業会計の基準についての調査研究及び作成を業として行う団体であつて次に掲げる要件の全てを満たすものが作成及び公表を行つた企業会計の基準のうち、公正かつ適正な手続の下に作成及び公表が行われたものと認められ、一般に公正妥当な企業会計の基準として認められることが見込まれるものとして金融庁長官が定めるものは、第一項に規定する一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとする。

 

現在、会計基準は公益財団法人財務会計基準機構に設置される企業会計基準委員会(ASBJ)が作成・公表を行っており、ASBJは上記の条文の規定を満たしている。ASBJの企業会計基準には以下のリンクからアクセスが可能である。

 

www.asb.or.jp

 

以上がいわゆる日本基準であるが、国際的な会計基準として「国際財務報告基準IFRS)」がある。IFRSは、ロンドンに所在する民間団体に設置されている「国際企業基準委員会(IASB)」が公表している。

 

IFRSは「指定国際会計基準」として定められている。一定の条件を満たした企業は、この「指定国際会計基準」を用いることができる。

 

(参考):

松尾直彦(2021)「金融商品取引法(第6版)」商事法務