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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

アームズ・レングス・ルールとは

本ページでは、アームズ・レングス・ルールとは何かについてまとめたい。アームズ・レングス・ルールとは、銀行法に規定されたルールであり、金融庁の監督指針には「銀行と銀行グループ内会社等との利益相反取引を通じて銀行経営の健全性が損なわれること等を防止するための規定」と定義されている。

 

具体的な条文は以下の通りである(13条の2)。

銀行は、その特定関係者(当該銀行の子会社、当該銀行の銀行主要株主、当該銀行を子会社とする銀行持株会社、当該銀行持株会社の子会社(当該銀行を除く。)、当該銀行を所属銀行とする銀行代理業者その他の当該銀行と政令で定める特殊の関係のある者をいう。以下この条及び次条において同じ。)又はその特定関係者の顧客との間で、次に掲げる取引又は行為をしてはならない。ただし、当該取引若しくは行為をすることにつき内閣府令で定めるやむを得ない理由がある場合において、内閣総理大臣の承認を受けたとき、又は当該銀行を子会社とする銀行持株会社(他の銀行又は銀行持株会社の子会社でないものに限る。)の子会社(当該銀行以外の銀行に限る。)との間で当該取引若しくは行為を行う場合において、当該銀行の経営の健全性を損なうおそれがないことその他の内閣府令で定める要件を満たすものとして内閣総理大臣の承認を受けたときは、この限りでない。

 当該特定関係者との間で行う取引で、その条件が当該銀行の取引の通常の条件に照らして当該銀行に不利益を与えるものとして内閣府令で定める取引
 当該特定関係者との間又は当該特定関係者の顧客との間で行う取引又は行為のうち前号に掲げるものに準ずる取引又は行為で、当該銀行の業務の健全かつ適切な遂行に支障を及ぼすおそれのあるものとして内閣府令で定める取引又は行為

 

銀行と特定関係者(銀行の子会社や主要株主等)との間で、どちらかが不利益を被るような条件ではなく、(第三者と取引をするのと同じように)公正な取引を行わなければならないという規定である。例えば、銀行が子会社に対して、正当な理由なく貸出金利を優遇したり、有利な条件で担保設定を行ったりしてはいけない。
 
2016年の銀行法改正では、銀行グループ内の取引について、当局の承認を受けた場合には、アームズ・レングス・ルールに基づく利率とは異なる社内レートの使用が容認されることとされた。これにより、グループ間での資金融通が容易となった。