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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ブロックチェーンによる暗号資産の取引の流れについて

本ページでは、ブロックチェーンによる暗号資産の取引の流れについてまとめたい。

 

送金

ここでは、AがBに1BTCを送るという取引を想定する。まず、A(送信者)とB(受信者)の間で1BTCを送るという取引が合意された際、「AからBに1BTC送金する」という送金データが生成される。

Aは送金データに「電子署名」をつける。契約書において取引に合意したらサインをするのと同様に、暗号資産の取引に対して、電子的に署名を行うのである。この電子署名はA(送信者)の秘密鍵によって生成される。電子署名の解読には公開鍵が必要となり、これは送金データに付加される。Bは電子署名を受け取ったら、その公開鍵を用いて電子署名を検証し、本人であることに間違いがないかどうか確認を行う。

公開鍵と秘密鍵の関係は、ざっくり言えばメールアドレスとメールアカウントのパスワードの関係に似ている。メールアドレスは誰でもアクセス可能なオープンなものであるが、パスワードは自分しか分からない。メールアドレスを相手に共有し、そのアドレスを使ってデータを送ってもらい、パスワードを使ってログインし、確認する。公開鍵と秘密鍵も似たような関係性にある(Edelman(2022))。

 

ウォレット

秘密鍵が流出すると大変なことになるので、絶対に他者に知られてはならない。秘密鍵(と公開鍵)を保管する場所のことを「ウォレット」と呼ぶ。ウォレットには様々な形式が考えられ、紙に鍵を記すこともできるし(ペーパーウォレット)、USB等のデバイスに保存することもできる(ハードウェアウォレット)。一般にオフラインで保存されているウォレットをコールドウォレット、オンラインで保存されているものをホットウォレットという。

 

ペーパーウォレットの使い方が以下の動画にて紹介されている。

ペーパーウォレットの使い方 - YouTube

 

ブロックチェーン

以上のプロセスを経て、送金データはブロックの中に入れられる。

複数の送金データ(トランザクション情報)が束になった各ブロックに対して、「ハッシュ値」という値が計算される。この「ハッシュ値」は、ブロック内のすべてのトランザクション情報、前のブロックのハッシュ値、等の情報を全て反映したものとなっている。下線部の「前のブロックのハッシュ値」が重要なポイントで、これがブロック「チェーン」と呼ばれるゆえんである。あるブロックのハッシュ値は、前のブロックのハッシュ値も踏まえて計算されている。

 

ここで、ブロックのハッシュ値には制約がある(例えば、ハッシュ値の最初の数桁が0でなくてはならない、など)。しかしながら、取引データと前のブロックから計算されたハッシュ値が、偶然にもその制約に合致する可能性は限りなく低い。そこで、そのブロックのハッシュ値が制約を満たすように意図的に調整する必要がでてくる。

 

では、どのように調整するのか。ブロックに含まれる情報に加え、「ナンス」と呼ばれる値を含め、これらによって計算されるハッシュ値が制約を満たすようにするのである。逆に言うと、制約を満たすようなナンスを見つける、という作業が必要になる。この作業のことを「マイニング」という。

 

だれがマイニングを行うかというと、世界各地のネットワーク参加者であり、こぞってブロックのナンスを割り当てようとしているのである。その動機は、もしナンスを割り当てられた場合、暗号資産を手に入れることができるためである。マイニングの方式には「プルーフオブワーク」と呼ばれ、膨大な作業・エネルギー消費によって、早い者勝ちでナンスの値を割り当てるプロセスである。

 

「ブロックの承認」の方法として、他にもプルーフオブステークというものがあり、保有している暗号資産の量に基づいて承認権限が割り当てられるというものである。

 

このように、ブロックが連綿と連なっていくため、以前の取引に戻って改ざんするといったことが事実上不可能な仕組みになっている。このブロックチェーンは、ある特定の中央管理主体が一元的に管理するのではなく、ネットワークに接続されたノード(コンピュータ)が分散的に管理を行っている。暗号資産の種類等に応じ様々なネットワークが存在する。

 

ハッシュ値とブロックのイメージについては、以下のサイトが分かりやすい。

Blockchain Demo - A visual demo of blockchain technology

 

暗号資産取引所

法定通貨を暗号資産に交換したり、個人間の暗号資産取引の仲介を行ったりする組織が存在する。これが「取引所」である。役割の違いに応じて「販売所」と呼ばれたりもする。法律的にはこうした業者を「暗号資産交換業者」という。

先ほどのウォレットについて言えば、ウォレットを暗号資産交換業者に管理してもらうケースもある一方で、自ら管理する方法(例えば上述の紙やハードウェアなど)もあり、このように自己管理により保存されたウォレットをアンホステッドウォレットという。取引所を介さなくても、アンホステッドウォレットを用いて個人間で直接取引を行うことは可能である。

 

(参考):

Ric Edelman(2022) "The TRUTH ABOUT CRYPTO", SIMON&SCHUSTER PAPERBACKS

暗号資産ウォレットとは何ですか? | Coinbase

ビットコインの仕組み - ビットコイン

【保存版】超わかりやすいブロックチェーンの基礎知識|ビジネスブログ|ソフトバンク

https://www.meti.go.jp/main/infographic/pdf/block_c.pdf

ブロックチェーンのセキュリティに必要不可欠な鍵「秘密鍵・公開鍵」

【保存版】秘密鍵のブロックチェーンにおける役割 | 秘密鍵を自分で管理できるウォレットも! | Kasobu

マイニングとは?わかりやすく仕組みを解説! | Webpia