本ページでは、カバードボンドとは何かについてまとめたい。カバードボンドとは、一言でいえば、債権担保付社債(債権(ローン)が担保となっている社債)の一種である。ヨーロッパで広く普及しており、典型的には銀行などの金融機関が発行する。
カバードボンドのスキームは以下のようになる。
社債の担保として、金融機関が保有する債権(ローン)が用いられる。複数のローンがこの社債をカバーしているので、「カバープール」と呼ばれる。上記の図でカバードボンドに対応するカバープールの高さ(縦幅)がやや高くなっている部分は、「超過担保」を表現している。カバードボンドとして発行する額よりも多い額を、担保資産として設定しているのである。発行額以上の担保を設定することで、信用力をより高めることができる。また、カバープールに含めることのできる資産それ自体も通常一定の信用力が求められる。
金融機関がカバードボンドを発行するメリットは、資産を活用した資金調達が可能になる点である。ローンを基に資金調達ができるという意味では、MBSなどの証券化商品と同様の機能を持つと考えることもできる(ただし証券化商品の場合はSPVに保有資産を売却するのでバランスシートから外れるが、カバードボンドの場合はバランスシートに計上されることが一般的であるという点で異なる)。
一方、投資家側にとっては、担保が付いた社債ということで、安全性の高い投資対象であるということができる。仮に発行者(金融機関)が破産した場合でも、カバープールは破産手続きのプロセスとは隔離され、カバープールから投資家はキャッシュを得ることができる。カバープールのローンがデフォルトになった場合でも、発行者は引き続き投資家に対して元利金の支払い義務を負う。さらに投資家は、発行者に対して、担保資産に加えて発行体の固有財産への償還請求が可能である(デュアルリコースという)ため、安全性が高められている。
(出典):
林宏美(2008)「規模の拡大と多様化が進展するカバード・ボンド市場」野村資本研究所 資本市場クォータリー 2008 Spring
カバード・ボンド研究会(2011)「カバード・ボンド研究会 とりまとめ 我が国のカバード・ボンド導入へ向けた実務者の認識の整理と課題の抽出」