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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ドル高に伴う新興国通貨安の影響について

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為替相場の決定要因は様々である。長期的には物価水準により決定されるが、短期的には通貨間の金利差が大きな影響を与える。具体的には、金利の高い通貨の需要が高まり、通貨高となる一方、相対的に需要が下がる通貨に関しては、通貨安となり、資金が流出することになる。

 

こうした中、「ドル高と新興国通貨安」という構図が、近年何度も観察されてきた。連邦準備理事会(FRB)による利上げ観測や、世界的な経済不安による安全通過ドルへの需要増加(有事のドル買い)に伴いドルが多く買われるようになる一方、新興国の通貨への需要が下がり、新興国通貨が軒並み下落する。

 

このような状況下で、新興国はどのような影響を受けるのだろうか。通貨安は、新興国にとって痛手である場合が多い。

 

ドル建て債務の膨張

多くの新興国は、ドル建ての債務を抱えている。ドル高になれば、準備しなければならない自国通貨の量が増大するため、負担は大きくなる。

 

ある新興国通貨が1ドル=100というレートだったとする。ドル高新興国通貨安が進み、例えば1ドル=120になれば、債務返済のために準備しなければならない自国通貨量は1.2倍となる。

 

輸入物価の上昇

石油をはじめとする資源の輸出に依存する国にとっては、通貨安は追い風となるが、資源を輸入に頼る新興国も多く、こうした国にとって通貨安は輸入物価の上昇という形で大きな痛手となる。

 

投資資金の引き上げ

グローバルな資金から新興国からドルに移るということは、新興国への投資が減少することを意味する。経済発展の途上にある新興国にとっては、資金供給の主要な主体である外資の引き上げによる影響は大きい。