<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

外国税額控除について分かりやすく

f:id:hongoh:20210611195144p:image

本ページでは、法人税における外国税額控除の概要と、関連する制度についてまとめたい。

 

全世界所得課税主義

まず、日本の法人税は全世界所得課税主義の考え方をとっている。国内でビジネスをしても国外でビジネスをしても、同じ税率が日本で課されるというものである。

 

 

国税額控除について

ただし、外国でビジネスを行う場合には外国の法人税が取られてしまうので、二重課税を防ぐために、外国の法人税額の分だけ税額控除する外国税額控除が適用される。具体的には、海外支店という形態で外国においてビジネスを行う場合、内国の税と外国の税が両方かかるので、外税控除が適用される。

 

ただし、外国税額控除には限度があり、

国税額控除限度額

=全世界所得に対する日本の法人税額 

×国外所得金額/全世界所得金額

 

である。なお、控除しきれない外国税額(控除限度超過額)は、翌期以降3年間繰越すことができる。

 

一方、外国子会社として事業展開を行い、配当という形で国内の本社に還元するという形を取る場合、外国子会社は全世界所得課税主義のもとでは内国法人ではないので、課税対象外配当を繰り延べる(先延ばしする)ことで税を免れることができてしまう。これを防ぐのが、CFC税制である。

 

CFC税制

CFC(Controlled Foreign Company)税制とは、外国子会社等を利用した租税回避を防止するために、一定の条件を満たす外国子会社の所得を日本の親会社の所得とみなし、日本で課税する制度である。タックスヘイブン対策税制又は外国子会社合算税制ともいう。


日本における税率が30%、A国の税率が10%だったとする。200の所得を稼ぐ日本企業Xが、日本のみで課税される場合、60が徴収額となる。

 

しかし、A国に実態のないペーパーカンパニーである外国子会社を設立し、200の所得の半分を外国子会社によるものとしたとき、100×0.3+100×0.1=40が徴収額となる。すると、上記の場合と比べて、20だけ租税を回避したことになる。


CFC税制は、このような租税回避行為を防ぐための制度である。具体的には、外国子会社の税負担が少ないと認められる場合、外国子会社の所得を日本本社の所得と合算し、日本の税率で課税するというものである。

 

詳しくは、「CFC税制とは何か」のページを参照されたい。

 

外国子会社配当益金不算入

この制度は、海外と国内で二重に課税が発生するのを防ぐものとなっている。

 

漢字が多くて分かりづらいが、言葉を補って書き直すと「外国子会社(からの)配当(を国内本社の)益金(には)不参入(とする)」制度、といえる。法人税は益金−損金の額に対して課税を行う。外国子会社の配当を益金に参入しないということは、法人税課税の対象外とするということだ。

 

この制度がなければ、外国子会社に対してまず外国の税が課され、国内本社に配当として渡った際に国内の税が課されると、二重課税となってしまう。2009年に導入されたこの制度は、二重課税を防ぎ、外国で発生した収益を国内に還流させる狙いがある。