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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

金融機関における金利スワップ業務

金利スワップとは、固定金利と変動金利といった異なる種類の金利を、定められた期間の間定期的に契約相手方と交換する取引である。例えば金利が今後上昇するとの相場観を持つ事業法人は、変動金利と固定金利スワップし、固定金利の受け取りの契約を結ぶことができれば、資金調達における金利上昇リスクを抑えることができる。金利スワップの概要については以下のページを参照されたい。

hongoh.hatenablog.com

 

金融機関における金利スワップディーラーは、事業法人や機関投資家、金融機関といった顧客の要望に応じ、固定金利の支払い(変動金利の受け取り)と固定金利の受け取り(変動金利の支払い)の両方向の取引を提供している(いわゆるマーケッ トメイカーとしての機能)。

 

顧客が金利上昇リスクを固定金利受け取りによってヘッジした場合、逆に金融機関の側がそのリスクを負う形になる。そこで、ディーラーは、様々な顧客とのスワップ取引によって生じた自らのポジションを、他の金融機関反対方向の金利スワップ取引を行うことでを行うことで、金利変動リスクをヘッジすることができる。例えば顧客との取引では変動金利受け取りを行なっている場合、別の金融機関とのヘッジ取引では変動金利支払い・固定金利受け取りを行う、といった具合である。

 

一本一本の取引に対して都度ヘッジを行うのではなく、複数の顧客取引全体を一つのポートフォリオとみなして、そのポートフォリオが取っているポジションに対してヘッジを行うことが一般的である。さらに、ヘッジ手段も、金利スワップだけではなく、には、反対方向の金利スワップ取引を行うだけではなく、現物や先物などの金融取引等も利用される。

 

しかし、こうしたヘッジを行っても、契約相手方のデフォルト等により本来得られるはずのキャッシュフローが得られなくなってしまうという、カウンターパーティリスク(デリバティブ取引における信用リスク)は依然として残るという点に注意が必要である。

 

(出典):

日本銀行(2021)「店頭デリバティブ取引データからみた円金利スワップ市場―新型コロナウイルス感染症拡大の影響―」