OAS(オプション調整後スプレッド)について
本ページでは、OAS(Option-Adjusted Spread、オプション調整後スプレッド)についてまとめたい。
OASは、繰上げ償還が行われる可能性のある債券(コーラブル債)において考慮する必要がある。債券の発行体が満期より前倒して投資家に償還を行う可能性があるということは、発行体が投資家から期限前に債券を買い戻す権利を持つと考えることができる。つまり、発行体にコールオプションが付された債券ということができる。
投資家にとっては、期限前に償還されてしまうので、本来得られたはずのキャッシュフローを得られなくなる恐れがある。このことについては以下の記事を参考にされたい。
このような期限前償還のリスクがある債券について、投資家はその分高い利回りを要求する。繰上げ償還がない債券と繰上げ償還がある債券との利回りの差はコールオプションの価値と考えることができる。
参考:
債券の利回りを評価するとき、ベースとなる金利(国債など)との差を考慮する。この差をスプレッドという。OASは、繰上げ償還のある債券の利回りから、コールオプションの価値(プレミアム)分を差し引いたうえで、ベース金利との差分を求めたものである。
期限前償還は、債券だけでなく例えば銀行のローンなどにおいても発生し得る。住宅ローンを借りた個人は、収入の増加や借り換え等の理由でローンを満期よりも前倒しでまとめて返済する可能性がある。こうした住宅ローンを束ねたMBSという証券化商品のプライシングにおいても、OASが考慮される。