<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

EUの金融規制についてごく簡単に整理

本ページでは、EUの金融規制について概要をまとめたい。

 

EUの法律体系

EUの法律は、EUの基本条約である一次法、基本条約を根拠に制定される法令である二次法、EU司法裁判所の判例である三次法に分かれている。

二次法については、さらに以下のような分類がある。

規則(Regulation)

加盟国の政府・企業・個人に直接適用される。加盟国の国内法に優先される。

指令(Directive)

加盟国政府に対して法的拘束力を持つ。指令が定める政策目標を達成するため、各国は立法等の措置を行う必要がある。加盟国間の対応の違いは許容される。

決定(Decision)

特定の加盟国政府・企業・個人に対して直接適用される。

勧告(Recommendation)

加盟国政府・企業・国民が一定の対応を取ることを旨を欧州委員会が表明。法的拘束力はない。

意見(Opinion)

あるテーマについての意見の表明。法的拘束力はない。

 

原則、欧州委員会が提出する法案を、欧州理事会欧州議会が審議して採択する。

 

EUの金融監督体制

マクロプルーデンス監督機能の担い手として、欧州システミック・リスク評議会(ESRB)と欧州中央銀行(ECB)がある。ミクロプルーデンス監督機能の担い手としては、まず主要な銀行(信用機関)についてはECBが直接監督を行っている。次に、欧州銀行監督機構(EBA)、欧州証券市場監督機構(ESMA)、欧州保険年金監督機構(EIOPA)は、加盟国の各監督当局に対して、EU法違反の是正要求や加盟国監督機関間の調整等を行うほか、金融機関に対して直接、上述の「決定」を下すことができる。これら3つの監督機構は欧州金融監督機構(ESA)と総称され、法令の施行にあたり技術的な詳細を定める権限を有する(欧州委員会の承認が必要)。金融機関に対する認可や監督は、ECBが直接行う者を除き各国の監督当局が行う。

 

主な金融関連法制について

銀行業については銀行指令や資本要件規則(CRR)・第4次資本要求指令(CRDⅣ)、証券業は金融商品市場指令(MiFIDⅡ)、破綻処理関連については銀行再建 ・ 破綻処理指令(BRRD)・単一破綻処理メカニズム(SRM)規則、投資信託についてはUCITS Ⅳ指令、OTCデリバティブについては欧州市場インフラ規則(EMIR)がある。

 

 

(出典):

rnavi.ndl.go.jp

rnavi.ndl.go.jp

大和総研(2017)「諸外国における金融制度の概要」

日本証券経済研究所(2020)「図説 ヨーロッパの証券市場 2020年版」