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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

社債の「スプレッド」とは何か

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本ページでは、社債における「スプレッド」とは何かについてまとめたい。よく「A社の社債スプレッドが拡大/縮小した」とか、「○○セクターのスプレッドが拡大/縮小した」という言い方がなされるが、そもそも「スプレッド」とは何を指すのか。

 

スプレッドとは「幅」のこと

スプレッドを日本語に訳せば「幅」である。では、「社債のスプレッド」というとき、何と何の幅を意味しているかというと、「社債の利回りと国債の利回りの幅」ということができる。日本のマーケットについて言うときは日本国債との幅、米国のマーケットについて言うときは米国債との幅、といった具合である。スプレッドの拡大を「ワイドニング」、縮小を「タイトニング」と言ったりもする。

 

社債の利回りはどのように決定するかというと、ベースとなるのが国債の利回りで、それに加えて信用リスクが上乗せされている、と考えることができる。

 

返済能力の低い企業があったとする。この企業の社債に投資するとき、投資家は、その高いリスクと引き替えに高い利回りを要求するだろう。リスクが高く利回りも低ければ、「ハイリスク・ローリターン」となり、投資する意味が無い。

 

このように、企業ごとの返済能力に基づき、国債の利回りの上乗せ部分が発生する。これこそが「スプレッド」となる。

 

スプレッドは、需給の状況によっても決まる。需要の高いセクターでは、利回りが下がっていき、スプレッドは縮小する。反対に需要が低ければ、企業は利回りを上げてでも資金調達をしようとするので、スプレッドは拡大する。

 

以上より、社債の利回りは、国債の利回りの変動(マクロ経済要因や財政状況によって変動)と、その企業固有の信用度合いによって基本的には決定することになる。

 

スプレッドの拡大が意味すること

スプレッドが拡大すると、その企業の信用リスクが上昇したことを意味する。また、セクターごと(不動産セクター、小売りセクターなど)に指数化したスプレッドの上昇は、そのセクター全体のリスクが高まっていること、あるいはそのセクターへの需要が低下していることを意味する。

 

(参考):

スプレッド | PIMCO