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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

先物を用いたヘッジ取引におけるベーシスリスクとは何か

本ページでは、先物を用いたヘッジ取引におけるベーシスリスクとは何かについてまとめたい。

 

先物を用いたヘッジ取引の基本的な考え方については以下のページを参照されたい。

hongoh.hatenablog.com

 

ここでのベーシスとは、簡単に言えば現物価格と先物価格の差である。以下の例をもとにベーシスリスクについて考えてみる。

 

ある資産を将来(第2期)に売る予定であり、将来の価格減少リスクを抑えるために現在(第1期)において先物の売りを行うことでヘッジすることを考える。具体的には、第1期で先物の売りポジションを保有し、第2期で反対売買(買い戻す)を行えば、仮に現物価格が第2期に減少しても先物の売買による利益によって損失をカバーできる。要するに第1期において売値を確定できるのがヘッジのメリットとなる。ここで、先物価格と現物価格が同じように連動していることを前提としている。

 

実際には、第1期の現物価格が2.5ドル、先物価格が2.2ドルであったとする。第2期にヘッジ取引を終了するとともに資産を売却したとき、現物価格が2.0ドル、先物価格が1.9ドルであったとする。

 

このとき、先物取引による利益は、2.2−1.9=0.3となる。第1期に先物を売り、第2期に反対売買(先物の買い)を行っている。差金決済により、0.3ドルが手元に入ってくる。

第2期の現物価格は2.0ドルであり、結局一連の取引による利益は2.0+2.2−1.9=2.3となる。これは見方を変えれば、2.2+(2.0−1.9)=第1期の先物価格+(第2期における現物価格−先物価格)となる。この( )の部分がベーシスである。

 

第2期の現物価格と先物価格の差(ベーシス)が、最終的な利益を変化させ得ることが分かる。第1期において、第1期の先物価格は当然知ることができるが、第2期のベーシスは知ることができない。つまりここに不確実性があり、これをベーシスリスクと呼ぶ。

 

 

(参考):

Hull, C, John, “Options,Futures and Other Derivatives”, 10th edition, Pearson, 2018.