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個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

信用リスク削減手法とは何か

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本ページでは、バーゼル規制における信用リスク削減手法とは何か、その概要についてまとめたい。詳細は金融庁の告示文書や、以下に示す参考文献等を参考にされたい。

 

一言でいえば、自己資本比率規制における信用リスクアセット額の算出に当たり、担保等があれば信用リスクの算出額を一定程度削減することが認められる、というものである。

 

自己資本比率規制における信用リスクについて

まず、バーゼル規制においては金融機関の健全性確保のために、リスク性資産に対して一定程度の自己資本の確保を求めている。これが自己資本比率規制である。リスクの種類には大きく分けて信用リスク、マーケットリスク、オペレーショナルリスクがある。このうち、信用リスクは、与信先のデフォルト等により資金回収ができないリスク、デリバティブ取引における相手方の支払い不能により得られたはずの収益が得られないリスク(カウンターパーティリスク)などである。銀行は、これらの信用リスクが存在する取引の額を計算しリスクの高さに応じて決定される「リスクウェイト」を乗じたうえで、「リスクアセット」として算入しなければならない。

 

信用リスク削減手法

貸出において、融資先がデフォルトしても痛手を負わないように、銀行が担保の提供を求めるケースがある。これは「信用リスクの削減」を行っているに他ならないため、こうした担保がある場合には、「リスクアセット」から一定程度差し引くことが認められている。

 

この信用リスク削減のための手法が「信用リスク削減手法」に他ならない。信用リスク削減には、国債や高格付け債券等の「適格金融資産担保」や、保証、クレジットデリバティブ、貸出金や自行預金との相殺といったオプションがある。

 

そして、具体的な削減方法としては、債権のリスクウェイトを担保資産のリスクウェイトに置き換える方法、債権の額から担保の額を控除してリスクアセットに算入するといった方法がある。削減には、「簡便手法」と「包括的手法」の2種類がある。

 

詳細については、例えば以下の文献等を参考にされたい。

 

(参考):

吉井 一洋、 金本 悠希、 小林 章子、 藤野 大輝(2019)詳説 バーゼル規制の実務―バーゼルIII最終化で変わる金融規制 』