先入先出法(FIFO)と後入先出法(LIFO)とは何か
本ページでは、先入先出法(FIFO)と後入先出法(LIFO)とは何かについてまとめたい。
商品を仕入れて販売することを考えた時、仕入れにはコストがかかる。財務諸表において費用と収益は対応させる必要があるため、ある年に販売された商品に対して、いくらのコストがかかったかを考える必要がある。
商品を販売する時、どのように棚卸資産を対応させるかについて以下のような方法がある。
先入先出法
先入先出法(FIFO)とは、先に仕入れた棚卸資産から順に販売していくという考え方。
後入後出法
後入先出法(LIFO)とは、後に仕入れた棚卸資産から順に販売していくという考え方である。
具体例
以下のようなスケジュールである商品を仕入れる場合を考える。以下の例では、商品単価が月を経るごとに増加(50→70→90)しているとする。
4月 50円×100=5000円
6月 70円×100=7000円
8月 90円×100=9000円
この時点で棚卸資産のトータルの残高は5000+7000+9000=21000となる。
9月に100円で商品を100単位販売したとする。このとき、商品の販売による利益はいくらになるか?
先入先出法を採用するとき、
100×100−50×100=5000
後入先出法を採用するとき、
100×100−90×100=1000
となる。
上記のようなインフレ時を想定する時、会計上は先入先出法の方が利益が高くなる。一方で、税金の額は利益の大きさによって変わってくるため、支払わなければならない税金も多くなる。その点、後入先出法は利益は小さく出てしまうものの、税金を抑えることができる。
期末における棚卸資産の額は、後入先出法の場合の方が小さくなる(後に仕入れたコストの高い方から順に販売すると考えるため)。
LIFO liquidation
後入先出法を採用している会社について、ある商品の在庫が仕入れた年別に以下のような状況である場合を考える。同様に商品単価はインフレにより上昇している。
2020年 50円×100=5000円
2021年 70円×100=7000円
2022年 90円×100=9000円
2023年の期初において、販売価格100円で250単位の注文があったとする。このとき、直近に仕入れた在庫だけでは足りないので、古くからの在庫を取り崩すこととなる。利益は
100×250−50×50−70×100−90×100=6500
となる。
この例では、古くから積み上がった在庫が2023年現在において削減された。このとき、後入先出法においても、昔の安いコストで仕入れた在庫の影響で利益が多めに計上されることとなる。この現象をLIFO liquidationという。
(参考):
LIFO liquidation - definition, explanation and example | Accounting For Management