ファンドの法的な類型と金商法上の取扱いについて
本ページでは、いわゆる「ファンド」の法的な類型と、金商法上の取扱いについてまとめたい。ファンドは言わば投資を行うための「器」である。この「器」にどのような種類があるのか、がこのページの主眼である。
1.ファンドの類型
いわゆる「ファンド」とは一般に、複数の投資者から出資を募り、その資金を元に事業や有価証券等へ投資し、投資による収益を出資者に分配する仕組み、と言うことができる。ファンドは、「集団投資スキーム」とフォーマルに言われることもある。
ファンドには主に3つの類型があり、①組合型、②会社型、③信託型がある。
①組合型
複数の人からの出資により事業を行う組織であるが、法人格を有さない。
※「集団投資スキーム」の範囲をこの組合型ファンドに限定して解説している文章も散見される。
②会社型
一般的な企業と同様、法人格を有する。
③信託型
委託者が受託者に資産を信託し、受託者がこれを運用、運用による収益を受益者に分配する。
なお、第2種金融商品取引業協会のページ(https://www.t2fifa.or.jp/q-a/answer01.html)
に、ファンドの各類型における具体例についてまとめられている。
ファンドの類型について(【】内は根拠法令)
〇組合型
・有限責任事業組合(LLP)【有限責任事業組合契約に関する法律】
・投資事業有限責任組合(LPS)【投資事業有限責任組合契約に関する法律】
・匿名組合(TK)【商法】
・任意組合【民法】
・Limited Partnershipなど【外国の法令に基づいて設立された組合】
〇会社型
・特定目的会社(TMK)【資産の流動化に関する法律】
・合同会社、REIT【会社法、投資信託及び投資法人に関する法律】
・ケイマンLLC、デラウエアLLCなど【外国の法令に基づいて設立された法人】
〇信託型
・Mutual Trustなど【外国の法令に基づいて設立された信託型ファンド】
2.ファンドの法的な取り扱い
金商法の第2条に、「器」であるこれらのファンドが有価証券であることを定めている。
この「器」を取扱う業者について、業務内容に応じてそれぞれ以下の業登録をする必要がある。
ファンド関連業務に必要な業登録
〇ファンドの販売
・ファンドの組成者自らが出資を募る場合(自己募集)
→第二種金融商品取引業
・証券会社などの販売会社が投資者出資の勧誘を行なう場合(募集の取扱い)
→第一種金融商品取引業
〇ファンドの運用
・顧客財産の運用判断を行う場合
→投資運用業(ファンド運用業、投資一任業、投資信託委託業、投資法人資産運用業)
・顧客に対して運用助言をするにとどまる場合
→投資助言・代理業
※ファンドの販売における、「自己募集」と「募集の取扱い」の違いは紛らわしい。投資信託協会のページ(https://www.toushin.com/faq/structure-faq/chokusetsu-boshu/)に、違いが分かりやすく説明されている。
「器」であるファンドを使って投資を行う業者は「投資運用業者」であるが、さらにこの中にも投資のタイプに応じて類型がある。その詳細は以下のページにてまとめる。
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