金融機関のリスクガバナンスについて
本ページでは、金融機関におけるリスクガバナンスについてまとめたい。以下は組織の中の各パートにおける一般的な役割について記述している。(各社によって当然異なる。)
取締役会
まず、取締役会が、金融機関におけるリスクマネジメントの基本的な方針を承認し、かつ定期的な見直しを行う。また、金融機関が主にどのようなリスクを負っているのか、それぞれのリスクに対して許容できるレベル、能動的にリスクテイクを行うレベルを決定する。このリスクテイクの水準について定めたものが、リスクアペタイトステートメント(RAS)である。RASでは、各事業部門、各リスクカテゴリーにおけるリスクアペタイト等が設定される。経営会議にてRASが策定され、取締役会が、これらを承認・決定する。
取締役会は、組織内の内部管理体制が適切に整備されていることを確実にする責任を持つ。さらに、リスクのモニタリングについて、十分な報告が確実に入るようにしなければならない。
リスク委員会
リスクマネジメント部門や取締役等から構成されるリスク委員会では、リスクアペタイトをはじめとするリスクマネジメントの方針について取締役会に助言することや、経営陣の業務遂行の監視といった役割を持つ。
CRO(チーフリスクオフィサー)、統合的リスク管理部門
CROは業務部門からは独立した立場で、金融機関のリスク全体のモニタリングを行う責任を担う。そして、そのリスクの状況やRASに基づいたリスク管理が行われているかといった点について定期的に経営会議や取締役会で報告することが一般的である。
金融機関のリスクを統合的に管理する部署では、各リスク(信用・マーケット・オペ・流動性など)の状況をモニタリングするとともに、RASに基づいたリスク管理状況を監視する。統合的リスク管理部門は、各リスクの管理部署に対してもある程度独立した立場から、その管理状況を監督する。
そして、各リスク管理部署は、そのリスクに関連した業務部門に部門に対して牽制機能を発揮し、業務部門(いわゆる1線)のリスクテイクにたいするモニタリングを実施する。
以下が金融機関におけるリスクガバナンス構造のイメージ図である。(各リスクに関する管理部署は当然もっとたくさんの種類がある)
(参考):
東京リスクマネージャー懇談会(2011)『金融リスクマネジメントバイブル』きんざい