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金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

ストレステストとは何か

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金融の分野における「ストレステスト」は、様々な目的・手法・範囲を含んでおり、一概に画一的な説明が困難である。さらに、民間の金融機関が行うのか、中央銀行などの当局が行うのかによっても大きく内容は異なってくる。

 

しかし、あえて強引に一般化すれば、ストレスシナリオ(市場の急変など)を設定し、これによってリスク要因が大きく動いたときに、関心のある指標にどのような影響を与えるか、をシミュレーションしたものといえるだろう。

 

民間の金融機関が行うストレステストの主要な目的は、リスク管理(と規制対応)ということになる。金融機関は、貸出や有価証券などを保有し(エクスポージャー)、リスクテイクを行うことでリターンを追求している。市場の急変によりリスクファクター(金利、為替など)が動いたときに、各エクスポージャーにどのように作用するのか、どれほどの損失が予測されるのかをシミュレーションする。よって、リスクファクターとエクスポージャーにどのような関係があるのか、過去のデータをもとに実証的に分析することが必要となる。

 

一方、監督当局が行うストレステストの主要な目的の一つは「マクロプルーデンス政策」である。マクロ経済環境が急変したときに、金融システム全体にどのような影響が及ぼされるかについて分析することが主な目的となる。どのようなモデルが用いられるかは各国当局によって異なるが、日銀で行われているモデルについての説明資料は文末の参考文献に示している。

 

リスクファクターが変動した時に、個別金融機関の自己資本比率がどう変化するか、また、与信行動がどのように変化し、そしてその変化が実態経済にどう影響するか(例えば「貸し渋り」による投資の停滞など)をシミュレーションすることで、ストレス時の金融システムの健全性と実体経済への影響を分析することができる。分析にあたっては、家計や企業、金融セクター等からなるマクロ経済モデルを構築することになる。

 

 

(参考):

Drehmann(2008) “Stress Tests: Objectives, Challenges and Modelling Choices”, Riksbank Economic Review

バーゼル銀行監督委員会(2009)「健全なストレス・テスト実務及び その監督のための諸原則」

日本銀行(2020)「金融マクロ計量モデル(FMM)の概要と近年の改良点」

Bank Stress Test - Overview, Types, and Importance