本日は、空売りに対する規制の全体像についてまとめたい。
空売りの概要については、以下のページを参照されたい。
空売りに関する規制は、金融商品取引法の施行令にて具体的に規定されている。
主な規制の内容は以下の通りである。
①取引の裏付けとなる株がない空売り(ネイキッド・ショート・セリング)の禁止
空売りを行うには、売るための株をどこかから借りてくる必要があり、空売りした後は適宜のタイミングで再び市場にて株を買い戻し、それを返す必要がある。借りる株のあてがないまま空売りをすることが可能になると、際限なく空売りができてしまい、市場価格の下落に歯止めが利かない恐れがあるため、金商法ではこれを禁止している。
(根拠法令:金商法施行令第二十六条の二の二第二項)
②明示・確認義務
空売りを行う場合、その売り注文が空売りであることを明示する必要がある。
(根拠法令:金商法施行令第二十六条の三)
③価格の大幅下落時における直近の約定価格以下での空売りの禁止
この規制も、空売りによる価格の大幅変動が際限なく続くことを防ぐ目的がある。ある株の価格が前営業日の終値等の基準となる値段から10%以上下がった際、その価格(直近約定価格)よりもさらに安い値段で空売り注文をすることはできない。これは、10%がこの規制を発動するトリガーとなるので、「トリガー方式」と呼ばれる。
(根拠法令:金商法施行令第二十六条の四)
④残高報告義務
一定以上の規模で空売りを行った場合は、空売り残高を利用している証券会社を通じて提取引所に報告する必要がある。
(根拠法令:金商法施行令第二十六条の五)