本ページでは、デリバティブ取引におけるカレントエクスポージャー(CE)とポテンシャルフューチャーエクスポージャー(PFE)の考え方についてまとめたい。
デリバティブの時価
そもそもデリバティブにおける時価とは、将来に発生するキャッシュフローを無リスク金利で現在価値に割り引いたものである。
この将来キャッシュフローは額の変動のリスクに「さらされている 」ため、「エクスポージャー」と呼ばれる。
株などの他の資産は保有額そのものが価格変動のリスクにさらされているためエクスポージャーと呼ばれるが、デリバティブは差金決済による取引であり、将来キャッシュフローがエクスポージャーとなる。
デリバティブにおけるエクスポージャーの基本的な考え方は以下のページでもまとめている。
カレントエクスポージャー(CE)
カレントエクスポージャー(CE)とは、現時点でのデリバティブ取引によって生じているエクスポージャーである。A社がB社とデリバティブ取引を行っており、30万円のプラスのポジションが生じていたとする。もしこの時点でB社がデフォルトした場合、この30万円を得ることができなくなってしまうという意味で、A社は、B社に対して信用リスクを抱えているといえる。CEは、現時点でA社が抱えているB社の信用リスクということもできる。また、CEは再構築コストと呼ばれることもある。
ポテンシャルフューチャーエクスポージャー(PFE)
ポテンシャルフューチャーエクスポージャー(PFE)とは、将来のデリバティブ時価の変動も考慮したエクスポージャーである。
現時点でのエクスポージャーはCEで把握できたとしても、取引の満期までエクスポージャーは刻々と変化していく。取引期間中において、一定の信頼水準の下での最大のエクスポージャーを推定したものが、PFEである。
推定にあたっては、リスクファクター(金利スワップであれば金利)の変動のシミュレーションから将来のエクスポージャーの確率分布を推定する。信頼区間を95%に設定した場合、確率分布における95%信頼区間の下での最大のエクスポージャーを求めることでPFEを算出することができる。リスク管理におけるリミット設定にしばしば用いられる。
(出典):
三菱UFJ銀行 市場企画部/金融市場部(2013)「デリバティブ取引のすべて 変貌する市場への対応」きんざい