本ページでは、行列の固有値と固有ベクトル、対角化についてまとめたい。
固有値と固有ベクトル
vをベクトル、Aを行列、λをスカラーとすると、正方行列Aについて、
Av=λv
となるようなvが存在する時、vをAの固有ベクトル、λをAの固有値という。
このとき、Aをvにかけても、ベクトルvの向きは変わらず、スカラー倍に変化しただけとなる。
固有値と固有ベクトルの求め方
行列Aについて固有値と固有ベクトルを求める際には、「固有方程式」を用いる。
固有方程式は、
|A−λI|=0
ここで、| |は行列式、Iは単位行列を意味する。行列式や単位行列については以下のページで説明している。
例えば、
の行列を考える。固有方程式より、
となる。これが固有値である。
λ=1のとき、
を解くと、固有ベクトルは
となる。tは0以外の任意の実数である。λ=4の場合も同様に計算して、
となる。
対角化
正方行列Aについて、
となるような行列Pが存在するとき、行列Aは対角化可能であるという。上式のような、i≠jの成分がすべて0の行列を対角行列という。
対角化するには以下の手順を踏む。行列A
を例にとる。
行列Aの固有値を計算するとλ=3, 7となる。
λ=3のとき固有ベクトルはv=t(1,1)となり、λ=7のときv=s(1,5)となる。
②固有ベクトルを並べてPを作り、対角化する
Pは固有ベクトルを並べることで作ることができる。t=s=1とすると(0以外の実数なら何でもよい)、
となる。
対角化を行うことで、行列のべき乗計算が簡単になるなどのメリットがある。