<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

行列の固有値と固有ベクトル、対角化について

本ページでは、行列の固有値固有ベクトル、対角化についてまとめたい。

 

固有値固有ベクトル

vをベクトル、Aを行列、λをスカラーとすると、正方行列Aについて、

Av=λv

となるようなvが存在する時、vをAの固有ベクトル、λをAの固有値という。

 

このとき、Aをvにかけても、ベクトルvの向きは変わらず、スカラー倍に変化しただけとなる。

 

固有値固有ベクトルの求め方

行列Aについて固有値固有ベクトルを求める際には、「固有方程式」を用いる。

 

固有方程式は、

|A−λI|=0

ここで、| |は行列式I単位行列を意味する。行列式単位行列については以下のページで説明している。

hongoh.hatenablog.com

例えば、

の行列を考える。固有方程式より、

となる。これが固有値である。
λ=1のとき、

を解くと、固有ベクトル

となる。tは0以外の任意の実数である。λ=4の場合も同様に計算して、

となる。

 

対角化

正方行列Aについて、

となるような行列Pが存在するとき、行列Aは対角化可能であるという。上式のような、i≠jの成分がすべて0の行列を対角行列という。

 

対角化するには以下の手順を踏む。行列A

を例にとる。

固有値固有ベクトルを求める

行列Aの固有値を計算するとλ=3, 7となる。

λ=3のとき固有ベクトルはv=t(1,1)となり、λ=7のときv=s(1,5)となる。

 

固有ベクトルを並べてPを作り、対角化する

Pは固有ベクトルを並べることで作ることができる。t=s=1とすると(0以外の実数なら何でもよい)、

となる。

対角化を行うことで、行列のべき乗計算が簡単になるなどのメリットがある。