<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

企業価値算出(バリュエーション)の全体像

本ページでは、企業価値算出(バリュエーション)の全体像についてまとめたい。

 

何の価値を測るのか

企業に関する価値の測定には、大きく分けて次の3つがある。

企業価値:企業全体の価値

②株主価値:株主に帰属する価値

③事業価値:企業が行う事業の価値

これら3つの価値の関係は、単純化すれば

①=②+有利子負債

③+非事業用資産の価値=①

となる。非事業用資産には、典型的には余剰現金などが該当する。

 

事業(プロジェクト)の価値の測定

次に、上記の③事業価値の価値の測定方法について考える。企業が行う事業の価値を測定する際の基本的な考え方は、「事業から発生する将来のキャッシュフローの総和の現在価値」をその事業の価値とする、というものである。

 

つまり、単純化すれば、「将来のキャッシュフロー/割引率」の総和を求めれば事業価値が求められることになる。

キャッシュフローの現在価値の算定については、以下のページも参照されたい。

hongoh.hatenablog.com

また、分子のキャッシュフローについて、正確に言えばフリーキャッシュフローという概念を用いる。フリーキャッシュフローについては以下のページを参照。

hongoh.hatenablog.com

分母の割引率は、いわゆる「資本コスト」と呼ばれる。資本コストの算出方法については以下のページを参照されたい。

hongoh.hatenablog.com

 

実際の事業価値の算出に際しては、将来の売上やコスト等を予測することによって将来キャッシュフローを推定することになるが、未来永劫にわたって将来キャッシュフローを正確に推定することは難しい。そこで、ある一定の期間以降はキャッシュフローの成長率が一定になると仮定して、その期間以降のキャッシュフローの総和の現在価値を求める。この価値を「ターミナルバリュー」という。ターミナルバリューの計算の詳細については以下のページ参照。

hongoh.hatenablog.com

 

例えば5期以降は個別にキャッシュフローを予測できないとすると、事業価値は「1期~4期のキャッシュフローの現在価値+4期末におけるターミナルバリュー」で計算される。

 

企業価値の測定

冒頭で述べた通り、事業価値に非事業用資産の価値(余剰現金など)を加えたものを企業全体の価値と評価することができる。

 

株主価値の測定

企業価値から有利子負債の額を差し引いたものは株主に帰属する価値となる。また、株式価値の測定には、将来の配当の現在価値から算出する方法(配当割引モデル)などがある。これについては以下のページを参照されたい。

 

 

以上、企業価値算出の全体像を本ぺージでは概観したが、ここではいわゆるDCF法に基づいた記述となっている。企業価値算出の代替的手法として、マルチプル法が挙げられる。マルチプル法については以下のページを参照されたい。

hongoh.hatenablog.com

 

(出典):

株が割安かの目安「株主価値」の計算法を知ろう - 日本経済新聞