<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

為替スワップとは?どんな時に使われる?

f:id:hongoh:20210419232019j:image

本ページでは、為替スワップとは何か、そしてその目的についてまとめたい。

 

為替スワップは一言でいえば、「現時点において直物為替レートで円と外貨を交換し、現時点において決定した先物為替レートで、将来時点で外貨と円を交換し直す取引」と言うことができる。別の言い方をすれば、「直物取引を行い、先物取引で反対売買を行う取引」ということもできるだろう。

 

ここで、直物為替レートとは、現時点で行う為替取引のレートを表し、先物為替レートは、将来時点で行う為替取引のレートを、現時点で取り決めたもの、である。

 

投資家は何を必要としているか

為替スワップを行う際、投資家は例えば次のような目的がある。

 

①外貨建て資産へ投資するための外貨の調達

②将来の投資資金の回収(円に戻す)際の為替変動リスクの回避

 

ある日系企業が米国の資産に投資し、1年後に回収したいとする。投資のためには外貨の調達が必要である(①)。さらに、1年後、投資した資金を回収するために資産を売却し、円に戻すことで、利益を確定させようとするが、ドル円レートの変動による資産価値の減少リスクを回避したいと考えた(②)。

 

このような、外国資産への投資に際して、為替スワップは一般的によく使われるツールである

 

為替スワップの具体的な流れ

それでは、具体的に為替スワップはどのような流れで行われ、投資家のニーズを満たすのだろうか。上記の例に基づいて考えてみる。

 

1)現時点において、直物為替レートにて、円を外貨に変えると同時に、1年後外貨を円に戻す際の先物為替レートを決定する

2)手にした外貨で、資産に投資する

3)1年後、資産を売却し、1)で決めたレートで、外貨を円と交換する

 

以上を見てわかる通り、現在における直物取引と、将来(1年後)における反対売買である先物取引が組み合わさっており、これこそが為替スワップである。1)と3)が為替スワップ取引に関わる部分となる。これにより、外貨を調達すると同時に、資金回収時の為替リスクの回避も達成されたことになる。

 

実際には、為替スワップを市場で行うのは金融機関で、企業からの注文を受けて金融機関が実行する形となる。

 

なお、為替リスクの回避は為替ヘッジと呼ばれ、為替ヘッジを行う際には2通貨間の金利差に由来するヘッジコストが発生する。ヘッジコストの具体的な考え方については、以下のページを参照されたい。

hongoh.hatenablog.com