本ページでは、カバードコールとプロテクティブプットとは何かについてまとめたい。
オプションの基本的な考え方については以下のページを参照されたい。
カバードコール
カバードコールとは、原資産の買いポジション(ロング)と、その原資産のコールオプションの売りポジション(ショート)を組み合わせる戦略である。
「コールオプションを売る」とは、「買う権利を売る」ということであり、すなわち(買い手から求められた場合に)権利行使価格で「売る義務」を持つ。この対価として、買い手からプレミアムを受け取ることができる。コールオプションの売りポジションを単体で保有している場合、仮に原資産価格が際限なく値上がりすると、損失も際限なく膨らんでいく(原資産価格−権利行使価格−プレミアムが損失額となる)。
原資産の買いポジションを組み合わせることで、この際限なく膨らむ損失を相殺することができる(原資産は値上がりしているのだから)。逆にいうと、プレミアムを受け取る代わりに、カバードコールは原資産の値上がりによる利益を放棄していることになる。
原資産の価格が下がった場合、原資産を保有しているため価格の減少幅によっては当然損失を被ることになる。しかし、プレミアムの分だけ、原資産の値下がりによる損益が発生する閾値は低くなる。
カバードコールは、原資産の値上がり益を放棄してでも、現時点でのプレミアム収益を得たい場合に用いられる。
プロテクティブプット
プロテクティブプットとは、原資産の買いポジション(ロング)と、その原資産のプットオプションの買いポジション(ロング)を組み合わせる戦略である。
「プットオプションを買う」とは、権利行使価格で「売る権利」を持つことを意味する。この対価として、プレミアムを支払わなければならない。原資産の買いポジションを単体で保有している場合、仮に原資産価格が際限なく値下がりすると、損失も際限なく膨らんでいく。
プットオプションの買いポジションを組み合わせることで、この際限なく膨らむ損失を相殺することができる。なぜなら、プットオプションの買いポジションは権利行使価格で「売る権利」を意味し、権利行使価格−原資産価格の分だけ利益を得ることができるため、価格が下がれば下がるほど利益が増えるからである。プレミアムを支払う代わりに、損失を打ち消すことができる(プロテクティブプットではプレミアム支払い以上の損失は発生しない)。
原資産の価格が上がった場合、原資産を保有しているため価格の上昇幅によっては当然利益が発生することになる。しかし、プレミアムの分だけ、原資産の値上がりによる利益が発生する閾値は高くなる。
プロテクティブプットは、プレミアムというコストを払ってでも、原資産の値下がりリスクをヘッジしたい時に用いられる。
(参考):