<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

経済

所得効果と代替効果について

ある財の価格が変化すると、その財への需要は変化する。予算制約が変化し、効用を最大化するための条件が変わることに伴い、最適な財の消費量が変化するためだ。この変化について、代替効果と所得効果に分解することができる。 2つの財を消費する個人の消費…

最尤法とは何か

本ページでは、最尤法とは何かについてまとめたい。 最尤法の概要 最尤法の基本的な目的は、「観測されたデータがどんな確率分布に従うか」を推定することにある。 例えば、抽出したサンプルデータが1,5,7という値であったとする。ここで、このデータがどん…

プロビットモデル・ロジットモデルの簡単な概要について

本ページでは、プロビットモデル・ロジットモデルの概要についてまとめたい。 両モデルは、ダミー変数(1または0のみをとる変数)を被説明変数とした場合に、説明変数との関係を説明する際に用いる。 例えば合格・不合格、犯罪歴の有り・無しといった二つの値…

金融におけるテイラー展開―非線形な価格の動きを捉える―

テイラー展開の概要 テイラー展開とは、ある関数を2次式以上の多項式で近似することである。 微分は、ある関数を1次関数で近似すること(線形近似)であった。y=f(x)のx=aにおける線形近似は、x=a、y=f(a)を通り、傾きf'(a)の直線ということになる。いわゆ…

固定効果と変量効果について平たく説明

本ページでは、固定効果と変量効果の概要についてまとめたい。厳密なモデルの詳細や数式については、参考書等を参照されたい。 これらは、パネルデータを用いた実証分析の手法である。 パネルデータ パネルデータとは、個人や地域、企業のデータを複数時点で…

回帰係数の仮説検定(有意性の検定)について平たく説明

本ページでは、有意性を判定するための回帰係数の仮説検定についてまとめたい。 回帰分析は、標本(サンプル)を抽出し、母集団分布の性質の一つである回帰パラメーター(変数間の関係)を推測するものであり、統計的推論の一つである。 回帰分析により推定…

回帰分析における仮定が成立しない場合とその対処法

本ページでは、回帰分析における仮定が成立しない場合と、その対処法についてまとめたい。 最小二乗推定量とは 回帰分析は、標本(サンプル)を抽出し、母集団分布の性質の一つである回帰パラメーター(変数間の関係)を推測するものであり、統計的推論の一…

t値とp値の違いとは?

本ページでは、仮説検定におけるt値とp値の違いについてまとめたい。 仮説検定の考え方 「AがBである」ことを示したいとする。このとき、「いったん『AがBで"ない"』という仮説を立て、その仮説が正しい確率が十分に低い」ことを示すことで、「AがBである」…

経済学的観点からみた政府の意義とは?

本ページでは、経済学的な観点からみた政府の存在意義についてまとめたい。 一般に、政府の存在意義は以下の3つに整理される。 資源配分 一般に、資本主義経済の下では、資源配分は市場原理によって行われている。完全競争市場の下では、個人・企業の利己的…

コストプッシュインフレ下の利上げについて

2022年、世界各国でインフレが深刻な状況となっている。 このインフレの原因、そして各国のとり得る政策やその効果などについて考えてみたい。 インフレの要因 インフレが起こる要因は需要要因と供給要因に大別される。前者は、経済活動が活発化し、人々の需…

中心極限定理とは何かを平たく説明

本ページでは、統計学における重要な定理である中心極限定理の基本的な考え方についてまとめたい。本ページでは数式を使用しないため、より厳密な説明は統計学や計量経済学の専門書を参考にされたい。 母集団と標本 まず、母集団と標本の関係について整理す…

不偏性と一致性とは何かについて平たく説明

本ページでは、統計学における不偏性と一致性についてまとめたい。一般に、母集団の性質を標本によって推定する際に、その推定量が不偏性と一致性を持つことが望ましいとされる。以下、母集団の平均を標本によって推定することを念頭に記述する。 母集団と標…

仮説検定の基本的な考え方について平たく説明

本ページでは、統計分析における仮説検定の基本的な考え方についてまとめたい。 仮説検定の考え方 「AがBである」ことを示したいとする。このとき、「いったん『AがBで"ない"』という仮説を立て、その仮説が正しい確率が十分に低い」ことを示すことで、「Aが…

通貨危機と外貨準備ーロシアのウクライナ侵攻の事例ー

本ページでは、通貨危機と外貨準備をテーマにまとめたい。 通貨危機とは 通貨危機とは、ある国の通貨の対外的な価値が著しく低下し(つまり極端な通貨安になる状態)、その国の経済にとって大きな打撃となる状況を言う。 通貨の価値は国の信用力で決まる。国の…

GDPは需要で決まる?供給で決まる?ーケインズ経済学ー

19世紀に現在の経済学の基礎が形作られる(いわゆる古典派、新古典派経済学)が、20世紀に新たな視点を導入したのがケインズであった。 『雇用・利子・貨幣の一般理論』の刊行直後にケインズ自らが書いた要約には、このようなことが書かれている。 リカ…

日本でバブル崩壊から金融危機まで数年のタイムラグが生じた理由について考察してみる

1980年代後半、日本では「バブル景気」と呼ばれる好景気が起こり、資産価格や株価が上昇、1989年から92年まで日本は国際経営開発研究所(IMD)の発表する国際競争力ランキングで世界1位だった。この頃日本経済はまさに絶頂期にあった。しかしこの好景気は長…

ISバランスとは何か

本ページでは、ISバランスとは何かについてまとめたい。 ISバランスとは、一言でいえば、経済全体で見た貯蓄と投資のバランスのことである。 三面等価の原則 ISバランスを理解するためには、まずGDPの「 三面等価の原則」を知る必要がある。三面等価の法則と…

市場はどこまで完全か?ーマネタリスト、ニューケインジアンー

20世紀前半、ケインズは財・サービスに対する需要、つまり「有効需要」を喚起することこそが、一国の総生産量を増やしたり、失業対策を行う上で有効だと考えた。いわゆる「ケインズ派」と呼ばれる経済理論である。 ケインズ主義的政策は、1960年代までの欧…

経済安全保障とは?なぜ近年注目されている?

本ページでは、なぜ「経済安全保障」 が近年注目を集めているのかについて考えてみたい。以下、政府の「経済安全保障法制に関する有識者会議」 における資料を基に記述している。 経済安全保障とは そもそも経済安全保障とは、国家の安全を守るうえで、 経済…

価格はどのようにして決定される?ー19世紀の経済論争ー

価格はどのようにして決定されるのか―あまりに身近なモノの「価格」という存在であるが、その決定メカニズムについては、様々な考え方がある。 現在の経済学の基礎は19世紀に形作られるが、このとき価格が何によって決まるかについて二つの見方があり、対立…

資産バブルと金融危機の関係ー北欧の事例ー

日本ではバブル崩壊から7年ほどのタイムラグの後、不良債権の表面化等により金融機関が破綻するなど、危機が表面化した。一方、日本とほぼ同時期に、北欧においても金融危機が生じた。もちろん、規模等が異なるため 正確に比べることは困難だか…

雇用統計における季節調整とは?

本ページでは、雇用統計等の経済統計に用いられる季節調整の考え方についてまとめたい。 経済や景気の動向を分析するために、雇用者数や消費額、売上高といった経済データは非常に有用である。例えば米国の雇用統計などは、その発表と共にマーケットの相場が…