<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

経済

ラムゼイモデルについてメモ

ラムゼイモデルについて。 数式を全く記述していないので、正確な情報は参考書等の文献を参照。 ソローモデルでは貯蓄率が外生変数であり、家計の最適化行動を反映していなかった。ラムゼイモデルは、この欠点を克服し、家計の効用最大化問題と企業の利潤最…

生産要素間の代替の弾力性について

生産要素間の代替の弾力性について。以下では、労働(L)と資本(K)の2つの生産要素を用いて生産活動を行う企業を考える。 技術的限界代替率 代替の弾力性の話に入る前に、技術的限界代替率について簡単におさらいしたい。技術的限界代替率とは、片方の生…

ソローモデルについて

ソローモデルについて。本ページでは数式を載せていないので、厳密な数式展開については各種テキストを参照されたい。 ソローモデルは経済成長を分析するツールとして用いられる。そのための準備として、資本ストックの変化と、労働・資本を生産要素とする生…

差の差の分析について

本ページでは、差の差(Difference-in-Difference)の分析についてまとめたい。差の差の分析は、ある政策による時間を通じた効果を測定したい場合に有用な分析手法となる。 パネルデータ パネルデータとは、個人や地域、企業のデータを複数時点で観測したも…

企業の費用曲線について

企業の費用曲線と、企業の生産行動についてまとめたい。 まず、大きく分けて費用には以下の4種類がある。 総費用C(Q) 可変費用VC(Q) 埋没固定費用SFC 非埋没固定費用NSFC 埋没費用(サンクコスト)とは、絶対に支払う必要のある、回収不可能な費用のことで…

労働市場の均衡について

本ページでは、労働市場の均衡についてまとめたい。 均衡点における雇用量(横軸)と実質賃金(縦軸)は、右上がりの労働供給曲線と、右下がりの労働需要曲線の交点で決定される。 労働供給 家計の効用最大化問題により労働供給曲線は導出される。 家計は、…

動学的不整合性について

金融政策における動学的不整合性について。 中央銀行が直面するトレードオフ 中央銀行の金融政策の目的として、物価の安定や、景気対策(失業率上昇の防止)等が挙げられる。そして、物価の安定を左右するインフレ率と、失業率の間には、負の相関関係がしば…

ARCHモデルについて

本ページでは、ARCH(autoregressive conditional heteroscedasticity model)モデルの概要についてまとめたい。 本ページで登場する自己相関や定常性、ホワイトノイズといった概念など、時系列分析の基本的な事項については以下の2つのページを参照された…

単位根過程、単位根検定について

本ページでは、単位根過程・単位根検定についてまとめたい。単位根過程は、時系列データの分析を行う際に登場する概念である。 本ページでは時系列データ分析に関する用語がいくつか登場する。まず、自己相関や定常性といった基本的な考え方については、以下…

ARモデル、MAモデル、ARMAモデルとは何か

本ページでは、ARモデル、MAモデル、ARMAモデルとは何かについてまとめたい。 本ページに登場する、時系列データ分析における自己相関や定常性といった基本的な概念については、以下のページでカバーしている。 hongoh.hatenablog.com 以下のモデルでは定常…

補償変分と等価変分について

本ページでは、補償変分(CV, compensating variation)、等価変分(EV,equivalent variation)についてまとめたい。 前提として、消費者が財を消費するとき、たくさん財を消費する方が効用は大きくなる。そして、予算制約の中で効用が最大になるように財の消費…

日本の少子高齢化と経済の持続可能性について

日本の少子高齢化は、国の持続可能性に深刻な影響を与えている。以下、一人当たりの経済的な豊かさを維持できるかという観点から考えてみる。 財政支出 高齢者の増加により、社会保障費は毎年膨張を続けている。国の財政状況は決して良好ではないので、その…

F検定の考え方について平たく説明

本ページでは、F検定の考え方についてまとめたい。 仮説検定の基本的な考え方については以下のページを参照されたい。 hongoh.hatenablog.com F検定の概要 F検定は、複合仮説検定といって、複数のパラメータについて仮定をおいたものとなっている。 まず、以…

相関係数と回帰係数の関係について

本ページでは、相関係数と回帰係数の関係についてまとめたい。 相関係数 2つの変数間の関係を示したものが相関係数である。相関係数の導出のためには、まず共分散を知っておく必要がある。 共分散は、 で求められる。i番目のx、yの平均との乖離が同じ方向…

時系列データにおける自己相関・定常性とは何か

本ページでは、時系列データにおける自己相関とは何かについてまとめたい。 時系列データの特徴 クロスセクションデータセットと異なり、時系列データは観測された順序が重要であり、時点で順序付けられたデータである。そして、時系列データはしばしば自己…

行列の基本的な計算について

本ページでは、行列の基本的な計算についてまとめたい。具体的には、行列の積、単位行列、逆行列、転置について取り扱う。 行列の積 行列の積は以下のように計算できる。 ある行列の行(横)の本数をa、列(縦)の本数をbとして、行列の型を(a,b)で表すとす…

行列演算を用いた連立方程式の解き方について

本ページでは、行列演算を用いた連立方程式の解き方についてまとめたい。 行列を用いた連立方程式の表現 以下の連立方程式を考える。 2x+y+z=3 x+3y-z=-4 -x+2z=3 この連立方程式を行列で表現すると以下のようになる。 ここで、 を係数行列、 を拡大係数行列…

標準偏差と標準誤差の違いについて平たく説明

本ページでは、標準偏差と標準誤差の違いについてまとめたい。 母集団と標本 標準偏差と標準誤差の説明に入る前に、まず、母集団と標本の関係について整理しておきたい。 ある調査対象(例えば日本人、日本企業など)があり、その全ての要素を含んだものが母集…

税の帰着について―価格弾力性との関係―

本ページでは、いわゆる「税の帰着」についてまとめたい。 ある商品に対して課税した際、その負担は消費者と生産者にどの程度帰着されるのだろうか。 課税後に消費者が払う価格をP_d、生産者が商品を販売する価格をP_s、課税額をtとすると、 という関係があ…

2標本t検定について平たく説明

本ページでは、2標本t検定とは何かについてまとめたい。(ここではいわゆる「対応がない」2標本検定について取り上げている)。 仮説検定の基本的な考え方については、以下のページでまとめている。なお、ここで紹介されているt検定の例は、1標本のt検…

パレート効率的とはどういう状態か

本ページでは、パレート効率的とはどのような状態をいうのかについてまとめたい。 資源配分の効率性についての言葉であるが、一言でいえば「他のどの人の効用も下げることなく、誰かの効用を上げることができない資源配分の状態」ということができる。逆に、…

古典派の二分法とケインズ派

本ページでは、古典派経済学とケインズ派経済学の考え方の違いについてまとめたい。 古典派 古典派の経済学では、財の価格や賃金は伸縮的に変化し、需要と供給が均衡するように実物変数の水準が決まっていくと考える。また、価格が伸縮的に変化する状況では…

価格弾力性とは何かについて平たく説明

本ページでは、価格弾力性とは何かについてまとめたい。ここではとりわけ、需要の価格弾力性について取り上げる。 基本的に、価格が上昇すると財の需要は減少する。それでは、価格が1%上昇した時に、需要は何%変化するのか。需要の価格弾力性とはこれを表…

最小二乗推定量を行列で表現してみる

本ページでは、最小二乗推定量を行列とベクトルを用いて表現する方法についてまとめたい。具体的には、回帰式 の推定量を行列とベクトルを用いて表現してみる。 行列のおさらい まず、本題に入る前に、行列のおさらいを簡単に行う。 行列の積 行列の積は以下…

需要と供給の均衡についての考え方

需要と供給の均衡は、大学の経済学で一番最初に習う事項だろう。右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線の均衡点で価格が決定される。 初歩的な経済学のテキストでは、需要曲線、供給曲線ともに直線(一次関数)であり、連立一次方程式を解くことで容易に均…

増加率と対数差分の近似について

本ページでは、増加率と対数差分の近似についてまとめたい。以下の近似関係は、経済・統計分析において頻出する考え方となる。以下、lnは自然対数を示す。 lnX1 - lnX0 ≈ (X1-X0)/X0 この関係は、一言でいえば対数差分が増加率と近似的に等しくなる、という…

対数を含む回帰式における係数の解釈について

本ページでは、対数を含む回帰式における係数の解釈についてまとめたい。 以下、3つの種類の回帰式において、それぞれの係数の読み取り方について説明する。lnは自然対数を示す。 ①Y=a+bX+u こちらは、対数を含まない標準的な回帰式である。この式において…

なぜ限界代替率は限界効用の比と等しくなるのか

2つの財(財A、財B)の選択を考えるとき、限界代替率は限界効用の比と等しくなる。 限界代替率とは、「財Aを1単位増やした時、同じ効用水準を維持するために、財Bを何単位あきらめなければならないか」を示している。消費量をXとすると、△X_B/△X_A の絶対値…

IS-LM分析について

本ページではIS-LM分析の基本的な考え方についてまとめたい。 短期と長期 マクロ経済分析にあたっては、短期と長期を区別する必要がある。短期においては市場メカニズムが働かない場合がある状況、具体的には価格が硬直的である状況を想定している。さらに、…

英国トラス首相の辞任に至る経緯について

英国のリズ・ トラス首相が10月20日に辞任を表明した。 英国のタブロイド紙「デイリー・スター」は10月14日、「 レタスの賞味期限を10日過ぎてもリズ・ トラスは首相でいられるか」と煽った。首相就任から実に45日で辞任という、 史上最短の在任期間であった…