<金融アトラス/a>

金融アトラス

個人の勉強も兼ねて、少しずつまとめます。

機械学習における教師あり学習とは

本ページでは、機械学習における教師あり学習とは何かについてまとめたい。 総務省の定義によれば、機械学習とは「コンピュータがデータを読み込むことで自動的にルールやパターンを見出し、その結果を活かして分類や予測を行う仕組み全体のこと」とされてい…

金商法に基づく企業会計の基準について

金商法において企業に対する各種開示規制が定められているが、その主要な開示項目に「経理の状況」がある。具体的には、財務諸表等や連結財務諸表等が該当する。そして、これらの財務諸表等について、以下の様に規定されている。 第百九十三条 この法律の規…

アームズ・レングス・ルールとは

本ページでは、アームズ・レングス・ルールとは何かについてまとめたい。アームズ・レングス・ルールとは、銀行法に規定されたルールであり、金融庁の監督指針には「銀行と銀行グループ内会社等との利益相反取引を通じて銀行経営の健全性が損なわれること等…

金商法のエンフォースメント

金商法のエンフォースメント(実効性の確保)について。ここでは、民事責任、刑事責任、行政責任、自主規制について取り上げる。本ページは日本証券経済研究所金融商品取引法研究会(2008)の文献に基づいている。 民事責任 民事責任規定を通じて、違法行為に…

デュレーションに基づく債券のヘッジ

債券は、金利変動による価格の変動リスクにさらされている。金利変動に対する価格の感応度をデュレーションという。デュレーションについては以下のページ参照。 hongoh.hatenablog.com デュレーションをD、金利変化をΔr、債券価格の変化率をΔP/Pとすると、 …

スポットレート、パーレート、ディスカウントファクター

スポットレート、パーレート、フォワードレート、ディスカウントファクターについて。 スポットレート 現在において投資を行い、将来のある一時点において支払いを受ける場合に適用される金利。キャッシュフローは現在と将来の2時点においてのみ発生し、途中…

VARモデルにおけるインパルス応答関数について

本ページでは、VARモデルにおけるインパルス応答関数とは何かについてまとめたい。VARモデルの基本的な概要については、以下のページでまとめている。 hongoh.hatenablog.com インパルス応答関数は、一言でいえば、ある変数に生じたショックが、時間を通じて…

構造VARとは何か

本ページでは、構造VARとは何かについてまとめたい。 VARとは何かについては以下にまとめている。 hongoh.hatenablog.com 以下で用いる数式は、Enders and Walter(2015)を基にしている。 構造VAR 時系列データであるyとzの関係をVARモデルで記述することを考…

分散共分散行列と現代ポートフォリオ理論

本ページでは、現代ポートフォリオ理論において計算するポートフォリオ全体の収益率の分散を、分散共分散行列を用いて表現する方法についてまとめたい。(理論の概要についてはここでは触れないので、他の参考書等を参照。) 分散共分散行列とは、ベクトルの…

ハウスマン検定について

本ページでは、ハウスマン検定の概要についてまとめたい。とりわけ、ここではハウスマン検定を用いた固定効果と変量効果の判定について取り上げる。 固定効果と変量効果の概要については以下のページを参照されたい。 hongoh.hatenablog.com また、本ページ…

保険におけるモラルハザードについて

本ページでは、保険におけるモラルハザードの問題についてまとめたい。 保険会社と加入者の間には情報の非対称性が存在する。とりわけ、加入者に隠された行動がある場合には、モラルハザードの問題が生じるとされる。では、モラルハザードとはどのような問題…

通貨危機のメカニズムについて

1997年に発生したアジア通貨危機では、固定相場制(ドルペッグ制)を採用していたタイが変動相場制への変更を余儀なくされ、バーツの価値が急落してしまった。 固定相場制を維持するためには、自国通貨のマネーサプライの調節を通じて金利を一定にし、為替レ…

同時分布の考え方と多変量正規分布について

本ページでは、同時分布の考え方と、多変量正規分布についてまとめたい。 同時分布とは まず、具体例として、ある会社における株価と収益の増減の関係について考える。株価の変化(X1)が-5%、0%、5%のいずれかであり、会社の収益(X2)は-10%、0%、10%のいず…

固定相場制と外貨準備

固定相場制を維持するためには、自国通貨のマネーサプライの調節を通じて金利を一定にし、為替レートを一定に保つ必要がある。これを実現するには、中央銀行等が保有する外貨準備が必要になる。 例えば外国の金利が上昇したことにより、自国の貨幣需要が減少…

国際金融のトリレンマについて

本ページでは、国際金融のトリレンマについてまとめたい。 国際金融のトリレンマとは、 ①固定相場制 ②自由な資本移動 ③独立した金融政策 の3つの政策目標を同時に達成することはできず、どれか2つを選択する代わりに、残る1つを諦めなければならないこと…

SDR(特別引出権)とは何か

本ページでは、SDR(Special Drawing Rights、特別引出権)とは何かについてまとめたい。SDRとは、一言でいえば、IMF(国際通貨基金)に加盟する国が引き出す権利を有する国際準備資産である。 ブレトンウッズ体制の崩壊 まず、SDRが創設された背景にはブレトン…

ダミー変数×説明変数による交差項の利用について

本ページでは、回帰分析における交差項の利用についてまとめたい。 まず、以下のような回帰式を考える。 Y=a+bX+cD+e Yは被説明変数、Xは説明変数、aは定数項、eは誤差項である。そして、Dはダミー変数であり、例えば大企業ならD=1、中小企業ならD=0というよ…

金融規制関係の国際機関が公表した各種原則について整理

本ページでは、金融規制関係の国際機関が公表した主な各種原則等について整理したい。(順次追加・編集予定) hongoh.hatenablog.com 規制・監督関係 バーゼル規制 www.bis.org 銀行監督 www.bis.org 破綻処理の枠組み(2014) www.fsb.org 証券規制(2017) www…

金融規制関係の国際機関による公表物へのアクセス方法について整理

本ぺージでは、金融規制関係の国際機関による公表物へのアクセス方法についてまとめたい。 FSBを中心に、金融システム安定化に係る国際的課題に対処するための各種基準・原則が策定される。実際の基準・原則は分野ごと(銀行、証券、保険など)に設立された…

ブロックチェーンによる暗号資産の取引の流れについて

本ページでは、ブロックチェーンによる暗号資産の取引の流れについてまとめたい。 送金 ここでは、AがBに1BTCを送るという取引を想定する。まず、A(送信者)とB(受信者)の間で1BTCを送るという取引が合意された際、「AからBに1BTC送金する」という送金…

ドーマー条件について平たく説明

本ページでは、ドーマー条件とは何かについてまとめたい。ドーマー条件とは一言でいえば、財政の安定化を示した条件である。 t期末の債務残高Dは、t期末のプライマリーバランス(債務の返済を除いた財政収支)PBと、前期までの債務残高、利払費(利子率r…

財政政策の効果について(乗数効果、クラウディング・アウト)

本ページでは、財政政策の効果についてまとめたい。 ここでは、以下のIS-LM分析を前提とするので、こちらも併せて参照されたい。 hongoh.hatenablog.com 乗数効果 まず、財市場の均衡条件は以下のように表せる。 Y = A+c(Y-T)+I(r)+G Aは基礎的消費、cは…

バランスシートにおける固定資産の減価償却の取扱いについて

本ページでは、バランスシートにおける固定資産の減価償却の取扱いについてまとめたい。 バランスシート上、固定資産の簿価は購入額でまずは評価される。設備等の固定資産は、年数を経るごとに性能が低下する中で、購入時にあった価値を保てなくなると考えら…

資金決済法における暗号資産登録業者について

資金決済法において、暗号資産は以下のように定義されている(第2条5項)。 5 この法律において「暗号資産」とは、次に掲げるものをいう。ただし、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項に規定する電子記録移転権利を表示するものを除く…

金融機関における金利スワップ業務

金利スワップとは、固定金利と変動金利といった異なる種類の金利を、定められた期間の間定期的に契約相手方と交換する取引である。例えば金利が今後上昇するとの相場観を持つ事業法人は、変動金利と固定金利をスワップし、固定金利の受け取りの契約を結ぶこ…

需要法則(価格が上がると需要は下がる)は常に正しいか

需要法則とは、価格と需要に逆相関がある、つまり需要曲線が右下がりになるというものである。この需要法則は常に成り立つのだろうか。 このことについて検証するために、ある財(財1)の価格が上昇した時の財の消費量の変化を、以下のように分解してみる。 価…

端点解について

2つの財の消費量を決定する個人を考える。このとき、どちらかの財の消費量が0となる場合(つまり予算制約線の端、x軸またはy軸上の点)が最適解となる場合がある。こうした解を端点解という。 通常は2つの財の価格比が限界代替率と等しくなる点が最適解とな…

連続複利とネイピア数について

本ページでは、連続複利で割り引いた現在価値の算出方法についてまとめたい。 単純なケース まずはシンプルなケースとして、離散的な複利を考える。現在価値がSで、年率r%で運用される金融資産について、T年後の将来価値Fは F=S*(1+r)^T となる。よって現在…

先物を用いたヘッジ取引におけるベーシスリスクとは何か

本ページでは、先物を用いたヘッジ取引におけるベーシスリスクとは何かについてまとめたい。 先物を用いたヘッジ取引の基本的な考え方については以下のページを参照されたい。 hongoh.hatenablog.com ここでのベーシスとは、簡単に言えば現物価格と先物価格…

見かけの相関(疑似相関)について平たく説明

本ページでは、見かけの相関(疑似相関)についてまとめたい。 まず、以下のような回帰分析を考える。 例えばyを血圧、xを年収とする。そして、β_1が正の値をとり、年収が高いほど血圧が高くなるという関係が得られたとする。この結果をもって、年収と血圧…