2022-01-01から1年間の記事一覧
本ページでは、デリバティブ取引におけるネッティングとは何かについてまとめたい。 店頭(OTC)デリバティブ まずは、デリバティブ取引の中でも店頭デリバティブの説明から始めたい。店頭デリバティブとは、取引所を介さずに、取引の当事者同士が相対で行う…
本ページでは、クレジットデリバティブとは何か、そしてその代表例についてまとめたい。 クレジットデリバティブの概要 そもそもデリバティブは金融派生商品と呼ばれ、金利や通貨といった原資産をもとにしてスワップやオプションといった取引を行うものであ…
経営効率を表す指標は様々あるが、ROAとROEはその代表例であり、かつ非常に似た概念である。本ページでは、これらの違いと、どのように使い分ければ良いかについてまとめたい。 ROE ROE(Return on Equity)は自己資本利益率のことであり、自己資本に対して…
本ページでは、RCAP(規制整合性評価プログラム)とは何かについてまとめたい。RCAPとは、一言でいえば、バーゼル規制における内部モデルによるリスクアセット算定が各国でバラツキのないよう、各国間の規制の一貫性・整合性を目的とするものである。 バーゼル…
2022年、世界各国でインフレが深刻な状況となっている。 このインフレの原因、そして各国のとり得る政策やその効果などについて考えてみたい。 インフレの要因 インフレが起こる要因は需要要因と供給要因に大別される。前者は、経済活動が活発化し、人々の需…
金融において、たまに「エンティティ」という言葉を耳にすることがあるが、この「エンティティ」とは何を意味するのか。 英語辞書で「entity」を調べてみると、「1. 実在、存在 2. a 実在物、実体、本体 b. 自主独立体」とある(新英和中辞典)が、正直これで…
世界にはグローバルに活動する大規模な金融機関が存在する。例えば、ゴールドマンサックス、JPモルガン、BNPパリバなどが挙げられるだろう。こうした金融グループは、どのようなビジネスを通じて収益をあげているのだろうか。以下、その全体像をまとめたい。…
本ページでは、ファンドにおける「ルックスルー」とは何かについてまとめたい。 ファンドは、投資家から資金を募り、さまざまな資産に投資する金融商品である。例えば日経225に含まれる銘柄に投資するファンドなどがイメージしやすいだろう。 「ルックスルー…
本ページでは、オペレーショナルレジリエンスとは何かについてまとめたい。バーゼル銀行監督委員会は、2021年3月、「オペレーショナル・レジリエンスのための諸原則」を公表した。これは、銀行に対してオペレーショナルレジリエンスの確保のために求める原…
本ページでは、統計学における重要な定理である中心極限定理の基本的な考え方についてまとめたい。本ページでは数式を使用しないため、より厳密な説明は統計学や計量経済学の専門書を参考にされたい。 母集団と標本 まず、母集団と標本の関係について整理す…
本ページでは、バーゼルⅢの全体像についてまとめたい。 バーゼル規制の「3本の柱」 バーゼル規制では、銀行の健全性確保のための規制として、次の3本の柱を掲げている。 第1の柱:資本賦課 自己資本比率規制。バーゼル規制の最もポピュラーな規制といって…
本ページでは、1990年代後半に日本で実施された金融制度改革である「金融ビックバン」の概要についてまとめたい。 「金融ビッグバン」の背景 日本の金融システムは伝統的に、間接金融つまり銀行が主体であったということができるだろう。 日本の高度経済成長…
本ページでは、EB債(Exchangeable Bond、他社株転換可能債)とは何かについてまとめたい。EB債とは、一言でいえば、債券にスワップやオプションなどのデリバティブの要素を加えた仕組債の一種であり、償還時に現金の形で戻ってくる場合と株式により戻ってくる…
本ページでは、金融機関が金融庁に届出が必要とされる「疑わしい取引」とは何かについてまとめたい。届出は、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法、犯収法)に規定されている。 マネーロンダリングの防止 「犯罪収益移転」、つまり…
本ページでは、オンラインカジノ(ネットカジノ)を利用したマネーロンダリングについてまとめたい。 マネロンの基本的な考え方 マネーロンダリングとは日本語に訳せば「資金洗浄」である。麻薬取引などの非合法の手段で手に入れた「汚れたお金」を、合法的な(…
本ページでは、クレジットカード、デビットカード、キャッシュカード、プリペイドカード、カードローンの違いについてまとめたい。 クレジットカード クレジットカードは、利用者の「信用」に基づき、商品・サービスの代金を支払った段階では引き落とされず…
ブロックチェーンと聞くと、「仮想通貨」で用いられる技術、とイメージする人が多いかもしれない。確かにそれは一つの側面ではあるが、ブロックチェーンはこれまで当たり前であった「信用」の在り方を大きく変える存在となるかもしれない。 これまで、社会の…
本ページでは、ファーマ-フレンチの3ファクターモデルとは何かについてまとめたい。ファーマ-フレンチの3ファクターモデルとは、一言でいえば、ある資産のリターンを、マーケット全体(市場ポートフォリオ)のリスクプレミアム、時価総額、簿価時価比率の3…
本ページでは、内部TLACとは何かについてまとめたい。そもそもTLACとは何かについては以下の2つの記事を参考にされたい。 hongoh.hatenablog.com hongoh.hatenablog.com 内部TLACとは G-SIBに指定されている金融機関の多くはグローバルにビジネスを行い、複…
日本において「貯蓄から投資」が叫ばれて久しい。かつての銀行中心の金融システムから、市場型の金融システムへの転換を図る目的で90年代後半から提唱されたスローガンであるが、具体的に「貯蓄から投資」を通じてどのようなことが期待されていたのか。 ○家…
本ページでは、誤方向リスク(Wrong Way Risk)とは何かについてまとめたい。誤方向リスクとは、一言でいえば、デリバティブ取引において、エクスポージャーの増大に伴って取引相手の信用力が悪化し(デフォルト確率の増大)、想定される損失が大きくなること…
本ページでは、信用創造とは何かについてまとめたい。信用創造とは、一言でいえば、「銀行が預金を何倍にも膨らますことができる仕組み」である。 信用創造のしくみ 銀行は、預金者から集めた資金を、一部中央銀行への準備金を除いて基本的には貸出に回す。 …
金融とは読んで字のごとく「金を融通する」という意味である。当然、融通する人がいて、融通される人がいる。 融通の仕方は大きく分けて2通りあり、融通する人と融通される人の間に銀行がおり、銀行が融通先を決定する仕組みを「間接金融」、融通する人が市…
本ページでは、資産運用ビジネスにおいて発生する可能性のある利益相反の類型についてまとめたい。なお、以下に示す類型は金融庁が審議会にて示したものに基づいている。 基本的にどの利益相反の類型も、顧客利益よりも自社の利益、あるいは会社が属する金融…
金融機関のコンプライアンスを考える際、「利益相反」は重要なキーワードの一つである。しかし、この「利益相反」が何を指すのか、法律上の明確な定義を見つけることは難しい。本ページでは、「利益相反」の基本的な考え方についてまとめたい。 利益相反の類…
為替相場の決定要因は様々である。長期的には物価水準により決定されるが、短期的には通貨間の金利差が大きな影響を与える。具体的には、金利の高い通貨の需要が高まり、通貨高となる一方、相対的に需要が下がる通貨に関しては、通貨安となり、資金が流出す…
本ページでは、統計学における不偏性と一致性についてまとめたい。一般に、母集団の性質を標本によって推定する際に、その推定量が不偏性と一致性を持つことが望ましいとされる。以下、母集団の平均を標本によって推定することを念頭に記述する。 母集団と標…
本ページでは、統計分析における仮説検定の基本的な考え方についてまとめたい。 仮説検定の考え方 「AがBである」ことを示したいとする。このとき、「いったん『AがBで"ない"』という仮説を立て、その仮説が正しい確率が十分に低い」ことを示すことで、「Aが…
本ページでは、ジニーメイ(Ginnie Mae)、ファニーメイ(Fannie Mae)、フレディマック(Freddie Mac)とは何かについてまとめたい。一言でいえば、米国でMBSの投資家への元利金支払いを保証する政府系の機関であり、住宅ローン市場への資金供給の一翼を担う。 MB…
本ページでは、FRTBにおけるマーケット・リスクに対する資本賦課額算出の標準的手法についてまとめたい。ここでは数式は使わず、概念をまとめているのみなので、厳密な定義や数式等の詳細は告示文書や、文末の参考文献等を参考にされたい。 FRTBとは 2016年1…